新人から中堅看護師向けの各研修を取り入れている医療機関は多いが、中堅以降の看護師を対象にした研修はほぼ無いというところが多い。それ以降は、個々の責任や自覚次第というところが大きかった。だが、中堅以降の看護師のキャリア開発も大事だという考えもあり、考案されたのがクリニカルラダーである。
職場によって内容は異なるものの、集合研修の後キャリアごとにレベル分けをして、ラダー評価や目標管理、課題レポートなどを行い、個々の看護に対する行動を評価するのが一般的だ。なお、レベルは1が新人、レベル2が一人前、レベル3が中堅、レベル4が達人という程度に設定している職場が多い。
ラダー評価は、各レベルに求められる能力を持っているかどうかを客観的に判断する評価で、目標管理は目標設定とパフォーマンス管理、成果評価、さらに改善という過程において目標に向かい取り組んでいった結果を見積もることを目的としている。
それに加えて、課題レポートもある。課題レポートは、看護課程の展開をどの程度理解しているかを知るため、テーマに沿ったレポートを書くものである。こうした内容のクリニカルラダーを実施することで、各看護師の能力を測ることができるのだ。そして、各レベルに求められる以上の能力を有していることがわかれば、看護師はレベルアップするのである。職場によっては、このレベルに応じて昇給するところもあるため、看護師の技術はもとより、士気が上がる評価システムと言える。
看護師は肉体的にも精神的にも負担が大きくなりがちな職業であるから、正しく他者から評価されるのは重要なことだろう。クリニカルラダーの場合、努力をすればわかりやすくステップアップできるため、仕事の評価を上げる方法として最適なのである。